聞くことの重要性 日常生活の中で、自分の気持ちを分かってもらえない、相手の気持ちがなかなか理解できないという経験はだれにでもあるでしょう。
また、「対話」や「話し合い」の重要性が毎日のように叫ばれていますが、話し合いの進め方によっては、かえって逆効果になる可能性も無視できません。
一方、特にトラブルや困ったことがあるわけではないけれど、相手(家族、同僚、生徒、患者、利用者、顧客、友人など)と、もっといい関係を築きたい、こちらの気持ちをうまく伝えたい、相手の気持ちをもっと知りたいなど、私たちにはさまざまな欲求があります。
しかし、これらの必要性や願いがありながらも、なかなか思うようにいかないのが現実です。そして、その原因の一つとして、私たちが適切なコミュニケーションの方法を習ってこなかったことが考えられます。
〈対 話法〉は、対話法研究所の浅野が、1994年に考案したものです。これは、心理カウンセリングの基本的技法の一つである「相手の話の聞き方」(いわゆる傾 聴技法)などを基にして、さまざまな立場や役割の人々が、あらゆる場面で使えるように極限まで簡略化されたものです。
〈対話法〉の特徴 〈対話法〉の唯一の約束ごと(ルール)は、必要に応じて「自分の考えや気持ちを言う(反応型応答)前に、相手が言いたいことの要点を、相手に言葉で確かめる(確認型応答)」ことです。
■〈対話法〉は、反応型応答・確認型応答という新しい概念を導入しました:
通常の対話では、私たちは、相手が言いたいことの要点を相手に確認すること(確認型応答)を省略して、自分の意見や気持ち(反応型応答)を言っています。
この2つの型を区別できるようになることが、〈対話法〉を理解し、実践に結びつけるための第一歩です。
*反応型応答と確認型応答という分類は、対話法研究所の浅野のオリジナルです。なお、反応型応答と確認型応答の性質には違いがありますが、どちらが良くて、どちらが悪いということはありません。
■〈対話法〉は、「オウム返し技法」ではありません:
従来の「傾聴技法」の中では、「繰り返し(オウム返し)」や「単なる言い換え」が推奨されている場合がありますが、これらを推奨していないところが〈対話法〉の特徴です。
■〈対話法〉は、「聞くだけ」ではありません:
相手に確認をして、それが合っているとわかれば、そのあとで聞き手側から質問をしたり、意見・感想・アドバイスを言っても大丈夫です。
いや、それどころか、本来、質問や意見交換がなければ、意義のある対話は成り立ちません。一方的に「聞くだけ」では、対話にならないのです。
しかし、従来から提唱されてきた、いわゆる「傾聴技法」では、この点が間違って伝わっていることがあり、残念なことです。「傾聴」というコトバ自体に、誤解されやすい原因の一つがあるように思われます。
〈対話法〉では、技法を簡略化したことにより、どんな人でも習得が容易になりました。また、とっさの場合も慌てずに使うことができます。
〈対話法〉は、見かけは「ありきたり」ですが、実践してみると、意外と奥が深く、想像以上の効果があります。そして、〈対話法〉は日常生活のあらゆる場面(家庭、地域、学校、会社、施設、病院など)で生かせます。
〈対話法〉を使うと……
■誤解の少ない正確な会話ができるようになります。
■冷静さを保ちながら会話ができるようになります。
■お互いの間に、安心感と信頼感が増します。
〈対話法〉が使えるようになるには
〈対話法〉の基本は非常にシンプル(しかし奥が深いです)なので、コツさえわかれば、特別な練習をしなくても使えます。さらに、グループで練習することによって、より確実に使えるようになります。
現在、継続的な練習の場は、こころの通う対話法のサイトで紹介されています。
〈対話法〉を身に付けた人が増えてくれば、今後、さらに全国各地で開催できるでしょう。考案者の浅野と、日本対話法研究会の会員は、一日も早くそういう日が来ることを願いながら普及活動を進めています。
対話法研究所
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